更新日:2026年2月13日
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R7第3回「精神疾患を抱える方とともに考える「生きやすい社会」について」
黒岩知事が「精神疾患を抱える方とともに考える「生きやすい社会」について」をテーマに、オンラインで、「支援する側」「支援される側」を区分することなく、精神疾患を抱える方の経験等を踏まえ、すべての人が生きやすい社会について意見交換を行います。
配信中はX(旧Twitter)にてリアルタイムでご意見をお寄せいただけます。「#おんらいんたいわ」をつけて投稿してください!(X(旧Twitter)公式アカウント)
テーマに関するご意見やご感想をお寄せください
令和8年1月19日(月曜日)14時00分から15時00分
YouTube視聴
こちらからご視聴ください
県の課題をより当事者の目線から把握するために、黒岩知事が、当事者や特定課題に精通した関係団体などと少人数で意見交換を行います。当日はYouTubeで中継して、対話の内容について意見を募集します。皆様もぜひご視聴の上、ご意見をお寄せください。
令和7年度 第3回「黒岩知事と当事者とのオンライン対話」を開催します
司会 渕之上様
皆様、本日はお忙しい中、お集まりいただきありがとうございます。
ただいまより令和7年度第3回『黒岩知事と当事者とのオンライン対話』を始めます。
本日の司会進行役を務めます、渕之上と申します。よろしくお願いします。
この対話は様々な課題に対する当事者の皆様の生の声を知事が直接伺い、当事者目線の意見を得ることで、今後の県の施策につなげていくものです。
この様子は、YouTubeでライブ配信を行うとともに、アーカイブで県のホームページにも掲載いたします。
今回のテーマは「精神疾患を抱える方とともに考える「生きやすい社会」について」ということで、「支援する側」、「支援される側」を区別することなく、精神疾患を抱える方の経験等を踏まえ、すべての人が生きやすい社会について、当事者の皆様と意見交換を行うものです。
本日は15時までを予定しております。
YouTubeをご覧の皆様は是非、X(旧Twitter)から「#おんらいんたいわ」、「#おんらいんたいわ」を付けてご意見をお寄せください。なお、「おんらいんたいわ」は全てひらがなになります。
また、会の終了後にも、今回のテーマに関する皆様のご意見を募集しております。YouTubeの概要欄にあるURLからお寄せください。
それでは意見交換に先立ち、黒岩知事からご挨拶申し上げます。
知事
神奈川県知事の黒岩祐治です。
本日は大変お忙しい中、ご参加いただきまして、誠にありがとうございます。
私は県民目線、当事者目線という言葉を大事にしております。その目線に立って、政策を考えるということは非常に大事だなと。とかく県民のためにとか、こういう人のためにと考えがちですけれども、そうではなくて、当事者の生の声、それをベースに政策を組み立てるべきだと考えておりまして、こういった対話を定期的に重ねているところであります。
なので、今回のテーマはですね、「精神疾患を抱える方とともに考える「生きやすい社会」について」ということであります。
精神疾患を抱えている方の生の声、その人達の目線から見てどういう物語が見えるのか、そのあたりを踏まえたうえで、我々はどう向き合っていけばいいのか、どうやってともに生きる社会を築いていけばいいのか、率直に語り合いたいと思いますので、どうぞよろしくお願いしたいと思います。
司会 渕之上様
それでは、参加者の皆様にご挨拶をいただきましょう。こちらからお名前をご紹介しますので、一言ずつお願いいたします。
お一人目はNPO法人さざなみ会 理事長の堀合悠一郎様です。
堀合様
こんにちは。堀合悠一郎と申します。
より良い共生社会実現のため、当事者の声を社会に知ってもらう一助になればと思います。どうぞよろしくお願いします。
司会 渕之上様
次に自立サポートセンタースマイル ピアスタッフの小泉智史様です。
小泉様
自立サポートセンタースマイルの小泉です。
スマイルは、南足柄市の社会福祉協議会の中の相談支援事業所です。普段は社協の総務の事務をしながら、スマイルのピアスタッフとして仕事をしています。今日はよろしくお願いします。
司会 渕之上様
続いて、一般社団法人神奈川県断酒連合会 会長の小林博様です。
小林様
ご紹介いただきました、小林です。
一般社団法人神奈川県断酒連合会は、アルコール依存症の当事者の自助グループです。会員282名おります。全国組織として全日本断酒連盟というのがありまして、会員4,212名です。
私自身28歳でアルコール依存症を発症し、入院治療を経て、断酒会に入会して以来、45年断酒を続けています。よろしくお願いします。
司会 渕之上様
NPO法人ヌジュミ デイケアセンターぬじゅみ 施設長の金山歌代様です。
金山様
こんにちは。私どもの施設は、ギャンブル依存症、買い物依存症、オンラインギャンブル依存症、処方箋依存症、自傷行為、様々な生きづらさを抱えた女性だけの居場所、回復支援施設となっております。
デイケアセンターぬじゅみの金山です。今日のこの時間をどうぞよろしくお願いいたします。
司会 渕之上様
続いて、社会福祉法人浦河べてるの家 理事長、北海道医療大学 特任教授の向谷地生良様です。
向谷地様
私は北海道の日高にあります浦河町から今、参加させていただいています。様々な精神疾患等を抱えた方達が地域で暮らす、働く、そしてつながることの支援を40年以上に渡って続けてきました。基本は精神疾患を経験した人達の経験に学ぶ。この方達が病気を通して私達に大切な必要なもの、何が変わらなければならないか。そういうことをその方達の経験から学び取る活動として、当事者研究というものを始めています。今日はよろしくお願いいたします。
司会 渕之上様
最後に、公益社団法人神奈川県病院協会 会長の吉田勝明様です。
吉田様
吉田でございます。
病院協会の会長という立場ではなくて、僕自身が精神科単科病院の横浜相原病院で病院長を約30年間続けてまいりました。精神科専門医、精神保健指定医であります。
病院での仕事以外に産業医として、企業戦士の出社困難であったり、あるいは思春期の子どもたちに学校医として不登校や様々な思春期の問題等々のカウンセリング等を行ってまいりました。これらの経験を踏まえたかたちでの発言を今日はしていきたいというふうに思っています。よろしくお願いいたします。
司会 渕之上様
それでは意見交換に移ります。
本日は2つのパートに分けて対話を行います。それぞれ参加者の皆さんにお話いただいた後に、知事からコメント、続いて質疑を行います。
最初のパートは「社会生活を行う中で、精神疾患を抱える方が困難だと感じていること」についてです。皆さんにはそれぞれの目線からお話いただければと思います。では最初に堀合様お願いいたします。
堀合様
はい、掘合です。精神疾患にかかると、頭の働きが影響を受けることによる症状の辛さに加えて、その症状をなかなか周りに上手く伝えることができないという状況を経験することは多いです。さらに社会から見ても、精神疾患・精神障がいというものがとても分かりづらい。見た目では分かりづらかったり、また症状の内容も分かりづらかったりすることによって、何かとても分からないもの、不安にさせられるようなものとして捉えられてしまうという、そういう偏見にもあたります。
また、私自身、10代で精神疾患を発症したんですが、精神疾患を発症したときにですね、社会の通常のルートから外れてしまったというような感覚を覚えました。
これは振り返ってみると、精神疾患にかかる前は、僕自身も精神障がい者を差別していたということだというふうに考えています。そのことは、社会の精神障がいに対する偏見を自分の中に取り込んでしまっていたと。
私自身、精神障がいのリハビリを続ける中で、多くの当事者の仲間と会ってきたんですが、その仲間達の中にも、自分自身への偏見と言いますか、スティグマ、自分自身に対する烙印を抱えている人はとても多いと感じました。
そうした複合的な理由があり、精神疾患を抱えることによる生きづらさが生じてきます。これは1つのことを解決すれば、それで全てが上手くいくというようなことではなくて、色んな面から対応していく必要があると思います。
司会 渕之上様
次に、小泉様お願いいたします。
小泉様
私は20年ほど前、20代の半ばで、大学院の研究、まさに先日ノーベル賞を受賞した北川進先生と同じような分野で学んでたんですけど、非常に大きなストレスでうつ病になってしまって、家から出られなくなってしまいました。何年もほとんど、家から出られない状態だったんですけれども、ほんとに辛かったのは居場所の無さです。
近所の人とか地元の同級生とかと顔を合わせたときに、「今何してるの?」って言われて、答えられない。同窓会とかお祝い事にも精神的にも辛くて臨めない。家族の理解も得られない。ベッドの上とか布団の中でしか安心できない。みんなが頑張ってる昼には向き合えない。就労支援とか福祉サービスって利用できたのかもしれないですけど、心を癒せる場所みたいなのが、やっぱりなかったように思います。
特に居場所については、地域差はすごくあると思っていて。ただ、その場にいるっていうことが許されるような、地域活動支援センターとかが少し少なかったなんて思ってます。夜に行ける場所も、僕は昼夜逆転してたんですけれど、ないです。入院している方の退院した後の住む場所とか、居場所とか、対応場所がないから退院が難しいっていう場面を何度も見てきました。
私は幸いにして、インターネットの掲示板とかラジオのメールを通じてきっかけをつかんで、心の傷ついた仲間を見つけるっていうのは大変なんですけれど、当事者同士が自分達で支えあって、居場所を作るようなセルフヘルプグループとかピアサポート活動の存在には本当に助けられました。
今、少し傷が癒えたとしても、社会復帰にはもう一度頑張る必要もありました。何年ものブランクは日常を健康で過ごしてる方と比べて、やっぱり大きなハンディキャップですし、やっぱり一見仕事を普通にしているようでも、精神状況の安定にすごく力を割いてます。職種や給料とかは健康な方と違ったレールを歩まざるを得ず、健康だったときの自分のやりたかったこととか、人生のイベントとか貴重な時間をそのまま取り戻すっていうのは、やっぱり現実、難しいです。
自分自身を、何とか納得させて諦めなければいけないことが、たくさんあると感じてて、相談しても、また今度ね、が1ヶ月2ヶ月、半年後みたいな事はやっぱりよく起こる状況だと思ってます。
司会 渕之上様
小林様、お願いいたします。
小林様
私自身、アルコール依存症っていうことを先ほど、自己紹介させていただきましたが、まだまだ社会的にですね、アルコール依存症っていう病気は、正しく理解されていない。誤解されているっていう面がすごく多いと思います。
未だにアルコール依存症は意志が弱いとかですね、人格的に歪みがあるとかですね、社会的に脱落者であるというようなイメージが、世間の多くの人が抱いているのではないかなというふうに思わざるを得ないところがあります。
アルコール依存症は、多量の飲酒によって、アルコールの摂取に関してコントロールができなくなっているっていう病気です。それで最近の研究ですと、明らかに脳の病気、脳機能の障害による精神疾患であるというふうに言われています。そして完全断酒すれば、確実に回復する病気です。
そこのあたりを社会に正しく理解していただくことが、すごく大事かなというふうに思います。
先ほどの堀合さんのお話にもあったように、そういう社会的な誤解をですね、アルコール依存症に関して社会に蔓延している偏見ですね、烙印、スティグマっていうふうに言いますけれども、そういう社会的な誤解、社会的なスティグマをご本人自身が自分の中に取り込んでしまって、自分はアルコール依存症なんかではないっていうふうに思ってしまう。否定してしまう。自己スティグマっていうふうに言ってますけれども、そこがものすごく大きな問題です。
アルコール依存症に実際かかってる方の多くの人たちは、いわゆる病識を持っていません。自分がアルコール依存症なんて、まさかあんな連中とは違うっていうふうに思い続けて、どんどんどんどん重症化して、最後には亡くなっていってしまうっていう人があまりにも多いということを非常に悲しく思っています。
ですから、そういう正しい理解をですね、持っていただくことが、まずは一番大事。それにアルコール依存症で、実際は本当は苦しんでいるご本人の人たちが、そういう自分の状態について、正しい認識を持っていただくということが非常に大事だなっていうふうに思っているところです。
司会 渕之上様
金山様、お願いいたします。
金山様
ぬじゅみの金山です。私自身も当事者であり、最終的にヘルプを出せず自殺も試みた一人であります。家族が最後の力でぬじゅみにつなげてくれましたので、今こうやって生かされております。
全国からの相談、どうしてよいのか分からないというご家族の方からの相談でも多いのが、女性の買い物依存症、窃盗、クレプトマニアの方が増えています。受刑者となった女性と文通をしばらく続け、ぬじゅみにつなげたというケースもあり、この先、刑務所内とのやり取りもどうしていくかを検討していかなくてはならないと考えています。
今回も面談が親族としかできないということで文通を始めました。
現在、依存症という病だけではなく、希死念慮、自殺念慮、双極性障害、統合失調症、発達障害、不安障害、自殺企図による躁鬱病の女性たちも増えています。その中で、自殺企図による躁鬱病のメンバーがぬじゅみを終了した後に、ギャンブル、OD(オーバードーズ)は止まっていたにもかかわらず、数年後につきまとう孤独感に押しつぶされ、結果自殺を試み、命を落としました。
もう一人は前職が看護婦さんでした。ギャンブル依存とOD(オーバードーズ)のある方でした。人のケアをする立場であった彼女が、最後は一人の殻に閉じこもり、命を落とされました。
一人では生きていけないと、仲間の力が必要だと、ある時期実感をしたとしても、日常生活の中でいつでも落とし穴があり、亡くなったメンバーからも、私たちがこの先、生きづらい女性たちにどう寄り添い続けるべきか、終了された後のケア、地域の訪問看護の方との連携、課題が与えられたと思っております。
依存の対象が止まったからと安心できることではなく、心の問題、生きづらさ、人との関わりの問題であると、亡くなった彼女たちから教えられている気がします。
さらに現在は、家庭の中で問題が起き、児童養護施設にいるお子さんの母親が、回復途上ですので、児相の方たちとのケース会議にも参加をさせてもらえるよう行動をしております。
母親が依存症であり、自傷行為のある環境を見て育ったお子さんにも、生きづらさが出てくるわけで、早期介入につなげるためにもケース会議に参加させていただくことにしました。
横のつながりがいかに重要であるかを年々考えさせられております。
司会 渕之上様
向谷地様、お願いいたします。
向谷地様
はい。向谷地です。私は、遡ることもう48年間ですね、この北海道の片田舎で、様々な精神疾患を経験した人たちが、必要以上に入院依存するんじゃなくて、地域の中で役割を持って、ともに暮らしていくためには、どうしたら良いかってことをいろいろ模索してきました。
その中で、やはりかつては入院中心、医療がすべての機能を抱え込んで、医療の専門家がこの分野に対して大きな力を持っていた時代から、今、医療の役割は非常に慎ましくなって、地域とか市民とか当事者の皆さんが、この領域に役割を果たす時代になったという意味では、とても時代は変わったなっていう気がします。
しかし、私のようなこの田舎でですね、こういう方達をサポートする仕事をしていると、医療そのものがですね、地域の中で成り立ちにくくなっている。
それから、地域の中でこういう福祉の資源がですね、福祉の資源として、そこにはその役割を持った色んな人材が働いているわけですけれども、そういう方達が、人材の確保も含めてなかなか動きにくい社会になってきている。一方、精神疾患を抱えた人たちは大変増えているという、このギャップをどうやって埋めていくかということが1つ課題だなっていう気がしまして。
でも、その中で私は、先ほど少し当事者研究という活動を紹介させていただきましたけれど、今まで、この病気の回復っていうのは、病気に関する大切な情報は、専門家が持ってるっていう時代から、むしろ、家族や当事者の皆さん、それから市民の皆さんの経験こそが大切な1つのリソースとして、これから生かされていく時代が来てるっていうことをとても実感しています。
そういう市民の中にある大切な健康情報、暮らし方の情報を市民が主体的に担ってですね、そして市民主導で、このメンタルヘルスのですね、健康な社会を作っていくための取組っていうのが1つ大事になってくる中で、特に子どもたちが早くに、このことの大切さに気付いて、子どもたちがもし万が一、自分の中にそういう困ったことが起きたときに、早めに相談したり、アクションを起こせるというですね、そういうことが起きてくれば、結果として社会そのものが、必要以上に医療に頼らない社会ができるんじゃないか。そんな気がしています。
司会 渕之上様
吉田様、お願いいたします。
吉田様
はい。吉田でございます。医療だけでは解決できない分野。他の病気なんかは結構、医療がメインとして治療してるんだというようなかたち。手術したり、薬物療法できちんと治る。でもこの精神疾患というのは医療だけでは完全には治りきれない。色んな活動が必要だというふうに思ってます。
精神疾患を抱える方が困難だと感じていることと聞かれれば、僕は一言で言えば、精神疾患を社会が理解してくれていないっていうことだと思います。精神疾患になると、場合によっては家族でさえ、そのことを隠したがったり、あるいは近所に隠されていたり、一般社会で非常に精神疾患に対するそういったような偏見、理解されていないってことが大変な問題だっていうふうに思ってます。
とはいえ、僕自身がもっと大変だと思っていることは一般社会じゃないです。精神科以外の他の医療者、外科の先生、内科の先生、あるいは看護師さん等々、色んな精神科以外の職員の方達、医療者たちが一番、一般社会よりももっともっと理解していないんだ。
つまり、精神科の患者さんが癌になりました。あるいは外科的な手術が必要になりました。あるいは、肝臓が悪くなりました。そういうときに、総合病院あるいは一般内科、外科の先生にお願いするとなると、まず、「え、精神疾患を持ってるの?」というようなことで、少しストップがかかったりもする。そういうようなことが一番、僕は気になること。
今回、コロナでえらく大変な目にあいました。コロナで大変マイナスなことがありました。でも、どこかで「コロナで良かったことはないですか?」と尋ねられると、僕自身は、精神科の先生たちが一生懸命、それまでは身体科の勉強をしていなかったのが、感染症、コロナに対する感染症の勉強を一生懸命してきたんだ。一般病院では、精神疾患の患者さんがコロナになって入院してくるということで、認知症の病気、あるいは色んな精神疾患のための勉強をそれなりにしてくれた。
今回のことで、そういう一般病院と精神疾患、それを診る病院との敷居が少しばかり低くなったのかなというふうに感じております。
これをさらに進めていくと同時に、やはり患者さん、統合失調症であれ、依存症であれ、あるいは気分障害であれ、みんな不安なんですよ。もう心配で心配でしょうがないんですよ。その不安をわかってあげられるような、そういう社会になってほしい。こんなふうに思っています。
司会 渕之上様
それでは、知事、今の皆様の発言を踏まえて、感想やコメントをお願いいたします。
知事
本当に重い言葉がずっと並んでいたなと思いますよね。まさに当事者の生の声を聞かせいただいて、これ本当に重いなってすごく改めて思った次第ですね。
最後に吉田先生がおっしゃったことというのは、我々もコロナ対策ずっとやってきましたけれども、コロナになった精神科の患者さん、当初受け入れる所が無かったんですよね。精神科ではコロナは見られないし、コロナの対応の病棟に行っても、「精神科の人は見られない」と言う。
そういうことがあって、非常に我々も苦労したということをよく覚えています。
そんな中で、今浮かび上がってきたのは、精神科の医療というものがですね、どれだけの支えになっているのか。例えば、大きなテーマとして毎回ある議論ですけれども、精神科病院といったものですね。これ本来どうあるべきなのかというか。病院に入れるんじゃなくて、皆さん社会に住んで、出て行ってくださいよという、そういうかたちを模索するという話もありますが。
この精神科医療、それから精神科医療の病院のあり方ということについて、皆さんのコメントがあったらと思いますけれども、堀合さんいかがでしょうか。
堀合様
はい。ありがとうございます。私が働いているNPO法人では、精神医療における人権擁護の事業、神奈川精神医療人権センターという活動を行っています。その中で、現在、精神科病院に入院する人の約半数が医療保護入院という非自発的入院。言い方を変えると、強制入院ですね。そういう入院で病院に入っていくということで、まず精神科病院に入院する入り口の段階で自分の希望を聞いてもらえないっていう状況を多くの当事者が経験しています。
そこを支援する、支援というかサポートするために、まず電話相談という窓口を開設して、まず当事者の声を聞くという活動を。そこから様々な人権擁護の活動を展開しています。
ですので、そういった活動を通して、まず1つ進めていきたいのは、精神科病院というと一般的に、なかなか人里離れたイメージがあると言いますか。街の中にある病院でもなかなか中に入ることは、一般の人にとって少ない。そういった精神科病院をもっと人の風通しのよいものにしたいということで、病院への訪問、見学活動等も積極的に行っています。
そういった市民が精神科病院に当たり前のように入っていくという社会を、1つ実現することが大事かなと思っています。
知事
ありがとうございます。小泉さん、いかがでしょうか。
小泉様
私は国の事業で、入院者訪問支援事業とか地域移行、地域定着支援事業っていうので携わっているんですけれども、精神科病院に入院されている方って、やっぱりそもそもお見舞いの機会がなかったりとかするんですよね。とにかく、たとえ入院生活が長引いても、外部とのつながりを絶たないような状態にするのが、とっても大事だと思いますし、何かあったら退院した後も、また入院できる。病院のワーカーさんとかって、やっぱり万全な体制で送り出そうっていうふうに、それはとても理解できるんですけれども、まあ何か失敗してもいいじゃないか、命は取り返しがつかないけれども、そうでないことであれば、地域の方のサポートを受ければできることはいっぱいあると思うので、そういったところとかを少しずつオープンな病院にしていければいいのかななんて思ってます。
知事
小林さん、やっぱりアルコール依存症になった人は、やはり精神科病棟っていうのは必要だと感じますか。
小林様
必要です。入院病棟含めて。先ほど言ったように依存症の自覚がないですから、その自覚を持った人が入院して、単純に物理的にお酒が断てますから。そこはものすごく大きいです。
ですから、在宅で、自分の力でお酒を断つっていうのはすごく難しいことなので、一定期間、通常2ヶ月半から3ヶ月ぐらいですけれど、専門病院でお酒を断つという治療は不可欠です。
不可欠ですが、その退院した後が大事なんですね。要は、その後に自分で、社会生活をお酒なしで進めていけるかどうかということが一番大事なことなので、健全な社会生活を送っていくための準備として、入院は不可欠ですね。
ただですね、入院で望まれることはやはり、最終的には依存物質とかギャンブルとかの場合だと、行動、行為依存とかって言いますけれども、要するに依存の対象物が問題ではなくて、自分自身の心のあり方、気持ちの持ち方ということが一番大事ですので、そういう悩みを聞いてくれるカウンセリング的な関わりが非常に大事です。それを、自助グループっていうかたちで、お互いに今やっているんですけれども、やっぱり専門医療機関が依存症の専門病棟できちっとカウンセリングをやって、必ずしも医師だけではなくて、公認心理師とかそういう方でもいいと思いますけれども、医療方針の中に入れるかたちでカウンセリングを入院中に行ってもらうということは、非常に大事なことだというふうに思います。
知事
金山さんの立場から、精神科医療とか精神科病院。これはどんなふうに受け止めていらっしゃいますか。
金山様
はい。これまでも入退院を繰り返されている方なども多くいらっしゃいますので、医療センター側のワーカーさんとのつながりもこの数年取らせてもらっていて、さっき小林さんがおっしゃったように、入院された後が本当に大事だと思っているので、入院中に一緒にワーカーさんと、こういった我々のような施設に一緒に面談に来てもらったっていうケースもいくつかありますので、私たちもそこに足を向けて動いてメッセージを運びに行くっていうことをまだまだ続けなきゃいけないなと思っております。
知事
ありがとうございます。向谷地さん、私も当事者研究の本、一生懸命読ませていただきましたけれど、向谷地さん達のこの活動っていうのは、すごいものだなと新たな学問の道を切り開いてきているんだなと改めて感じますけれども、やっぱり精神科病院というのは将来的にもう無くなっていった方がいいって、そこまで考えられますか。どうですか。
向谷地様
私は病院も含めて、この精神医療というのは1つの文化だと思っているんですね。ですから、私達はただ病院があればいいとか、なければいいっていうだけじゃなくて、私たちがどういうメンタルヘルスの文化を作っていこうとするのかっていうことに関わる。そういう意味では病院が無くても、無くなっても、それと同じような非常に生きにくい、非常に管理的な社会がその地域の中にあれば、それは同じように難しいわけですし。
そういう意味では、私は病院に25年勤めていましたので、ただ病院は寝る場所、食事ができるところ、健康を回復していく場を提供してるだけであって、それで大体の方達が回復する。であれば、これは何も病院じゃなくてもいいんじゃないかと、私は病院にいながらいつも思っていました。そういう意味では、ある種の医療的な機能がもっと地域の中にあれば、あれだけ大規模な病院じゃなくてもかなりの方達がそこで元気を取り戻していける。
しかし、まだ地域の中で、回復っていうことを考えたときに、まだ仕組みとか、そのための色んな財源も含めたそういうものは、まだまだ私たちも手探りなんですけれども、色んな海外の先行実践も踏まえて、私達はもっと積極的に模索するべきじゃないかなって気がしています。
知事
ありがとうございます。吉田先生、その医療界の問題っていうのも吉田先生自らがね、訴えられたわけですけれども。この精神科病院のあり方そのものについて、やっぱり変わろうという動きはあるんでしょうか。どうなんでしょうか。
吉田様
はい、ありがとうございます。精神科病院は様々な問題が起こって、色んな社会問題となって、いろいろ責められることもあります。でも積極的に頑張ってやっている病院もたくさんあるのも事実です。
ですから、これから病院としてもっともっと変わっていく必要があるかと思います。先ほどからお話聞いていると、風通しのいい病院が必要なんだ、面会の患者さんがなかなか来ない、すなわち閉鎖的な状態が起こっている。これが一番問題なんだっていうのはそういったような指摘だったかと思います。
僕が病院長をやっていた頃なんかには、ある意味での面会、患者さんの数ってものに非常にこだわってました。そういったたくさんの面会の人が来て、そして近所でお祭りや色んなことをやって、実際ボランティアなんかも受け入れたり、その辺の開放的なかたちで理解してもらうというものに努力した。そのような覚えがあります。
医療保護入院、措置入院、任意入院、この3つのパターンがあるんですけど、入院するときに自分の意思でない、医療保護入院というかたちで入られるというようなかたちのことで、少しコメントがあったかと思いますけれど、僕は必要だというふうに思っています。
確かに幻覚妄想状態で、あるいはアルコール依存症で自分の病識がない。その病識がないときに医療で守ってあげるというようなことは、やっぱり必要なんだと思います。精神科病院と他の病院との最大の違いは、治療の場であることと同時に、生活の場でもあるということなので、その部分を守ってやる必要がある。
ただ、じゃあ医療保護入院になって1ヶ月、3ヶ月、6ヶ月ずっと医療保護のままかっていうと、それはやっぱりとんでもないことで。そういった幻覚妄想状態、自分の病識がなかなか分からない状態、そんなにはなかなか続かないです。きちんとした薬物療法、あるいは精神療法を行うことによって、自分の病気を理解する。その結果として、どれだけ早いタイミングで、しかも医者だけが判断するのではなくて、ナースあるいは心理師、あるいは色んな多くの職種、多職種で検討して、どれだけ早く医療保護入院を任意入院に切り替えて、自分の意思で治療していこう。そういった気持ちにさせてあげることが大事なことだと思っています。
うつ病、思春期、依存症もろもろの患者さんたちがいます。僕が一番思っているのは、自分自身が一生懸命治療する、自分が頑張って治療しなきゃいけないよ。と同時に、周囲の応援っていうのが非常に大事なこと。
全てのこれらの疾患で、依存症あるいはうつ病、思春期で不登校。色んな状態に関して、一生懸命本人もやる。頑張って治療する。ただ、周囲のその周りにいる方が「どうせあいつはダメだろう。どうせあいつは無理だ」なんていうマイナスのことを思っている人、その数だけ反比例します。しっかり信じて応援してくれる人の数だけ僕は正比例すると思います。
ですから、再発があったときなんかに、薬物でまたやってしまった。お酒をまた飲んでしまった。本人だけを責めるんではなくて、周りがどういう状態でいたのか。信じて応援してやる。このことを僕は非常に強調しておきたい。それは大事なことだというふうに思っています。
知事
ありがとうございます。
司会 渕之上様
それでは次のパートに移ります。ここでは「生きやすい社会、理想の社会のイメージと、そのために必要なこと」について、皆様よりご意見をお聞きしたいと思います。
まずは知事から一言いただきたいと思います。知事よろしくお願いいたします。
知事
この今、出た話というのは結構、社会全体で理解して、みんなでやっていこうっていうのは、こうすればいいってもんじゃない。さっきもちょっと話がありましたけれど、非常に大きな課題だなという。そんな気もするわけですけれども。
1つ、今我々ですね。この直面している1つの課題があって、ちょっと皆さんの生の声を聞きたいと思うんですけれども。
東京の滝山病院事件っていうのがありましたね。精神科病棟の奥の方で虐待みたいなことがあった。これは映像のカメラがあったからですね、それが明らかになって、逮捕者まで出たわけですけれども。あれを受けて、我々、県内の精神科病棟を全部ですね、チェックしたんですよ。そうしたら、それくらい切羽詰まった状態ではないという報告があったのですが、つい先日ですね、神奈川県立の精神医療センターで、患者さんに対する虐待といったものがあったといったことが出てきたんですね。
こういったものを、やっぱりまずは社会全体でっていうのは、当然なんですけれども、まず、そういった見えない所での虐待といったものを根絶していくということを、我々は今、直面をしているんですけれども。
そのためにどうすればいいのか。例えば、滝山病院だったら、そういうカメラがあったということによって分かったといったらば、要するにもう今、共用部分にはカメラが大体付いてはいるんですけれども、それぞれの部屋にもですね、ドライブレコーダーのように何かあったときにだけチェックできるような、そんな体制が必要なんじゃないかななんて気もするんですけれども、このあたりについて、皆さんの率直なご意見をお伺いしたいと思います。いかがでしょうか。堀合さんいかがですか。
堀合様
はい、ありがとうございます。カメラという目が入ることで、その場が公共の場になるというか、その場に緊張感が生まれることで、虐待を防ぐことにつながるのではないかとは思います。
また、理想をいうと、何かカメラという監視する存在が必要ないというのは理想ではありますね。ただ、現実に起こっていることを発見する手段としては、カメラは有効なものではないかと思います。また、抑止力としてもですね。
知事
これ、カメラといってもいろいろなカメラがあると思うんですけれどね。今聞いてみたら、その個室に付いてるカメラもあるっていうことなんだけれども、それは急変が起きたときに対応するためのカメラっていうこと。それは要するにライブのカメラですよね。
でも何かあったときだけ記録として残ってるっていう意味からすれば、いわゆるドライブレコーダー、生で見ているわけじゃなくて、記録だけしていると。でも、みんながいつもそれを見れるわけじゃないという。そういうカメラのあり方っていうのもあるかなと思ってはいるんですけれど、小泉さんいかがですか。
小泉様
個人的に言えば、見られるとか、生活を監視されていると自分が分かれば、とてもあんまりいい気分はしないっていうのが、正直なところで。
ただ、虐待を防ぐためであったりとか、自分の安全が確保されるっていうのが、本当に心の底から納得できれば。あとは、見守りカメラみたいなのも、逆に良いような事例とかを共有していこうみたいな話も聞いたりとかするので、そういったようなところで支援される方とご本人にとって良い方向に進むのであれば、というような気はしていますね。
知事
そうですね。なるほどね。小林さんいかがでしょうか。
小林様
はい。病院でも公共とか共用のスペースではなく、個室っていう理解でいいですよね、カメラ。病室ってことですよね。それであれば、基本的に虐待防止っていうための効果というか、抑止力も含めた虐待防止という人権擁護上のプラスの要素と、それから逆の側面で言うと、患者さん、ご本人自身はやはり監視されている、日常生活を晒すっていう意味で、監視されてるわけですから、やっぱり人権侵害なわけですね。
その人権侵害の部分とリスク回避のための人権擁護の比重をどちらを取るかって話だと思いますが。
私としては、極力虐待をしないというのは職員側の問題ですから、それは、患者側の人権をある程度軽視しているということに結び付いてしまうのではないかというふうに思いますので、プラス面マイナス面を相対的に比較すればマイナス面の方が多いと思いますので、監視カメラの設置はいかがなものかなっていうふうに思うところです。
知事
なるほど。金山さんいかがですか。
金山様
賛否両論はあると思うんですけれど、必要なときにドライブレコーダーのように開示できる状態っていうのは安全である、と私個人は考えていて。
以前、入院をされている方とお話をさせていただいたときに、見守りカメラがあったことで、何が起きるか分からない、そして、自分が何をしてしまうのかも分からないという状態の際も、とても安心できたという声がちょっと聞こえたことがあって、それを話したいなと思いました。
知事
ありがとうございます。そうですよね。見守りカメラがあることによって、むしろ安心だという。そういう声の方もいらっしゃると。これ本当に議論が分かれると思いますけれど、向谷地さんどうでしょうか。
向谷地様
私は基本的な考え方として、もし、患者さんを虐待してしまった職員がいた場合は、その職員を問題視するっていうよりも、やっぱり職員がどういう環境で働いているのか。職員の立場も、そしてその仕組みも考えていかなきゃならない。
もしかしたら、入院環境が思わしくなくて、それが患者さんの病状に影響を与えていて、そして患者さんもなかなか病気が不安定で、そして、それに対してスタッフがちゃんと対応できなくてっていうある種の循環がある。
そこで、例えば、これはイギリスの例ですけれども、拘束が増えたり、そういう虐待事案が増えたときに、まず職員がどういう環境で働いてるのかに対して、ちゃんと調査をして、そして、例えば上司が部下を怒鳴らないとか、そういうことも含めた職場の改善を行なった結果、優位に虐待や拘束が減ったっていう1つのデータもありますので。
そういう先行事例なんかも参考にしてみたらよろしいんじゃないかなというふうに思います。
知事
なるほどね。虐待するというのにも、その虐待に走っていく環境、背景があるっていうことまで考えるべきだということですよね。
向谷地様
そうですね。ですから、安心安全という1つのキーワードは患者さんにとっても、働く人にとっても、同じ1つのテーマとしてですね、私達、周囲は配慮しなければならないっていうことじゃないかと思います。
知事
はい、吉田先生どうですか。
吉田様
カメラが必要か必要でないかというようなかたちで言えば、僕は必要だというふうに思っています。でも、これは基本的に職員が患者さんの虐待をしていないか、それを取り締まるための目的でカメラを付けている。もう情けない話ですよね。本来そんなことあってはいけないし、そんなための目的のカメラではない。
ご承知のとおり、統合失調症、幻覚妄想状態で「お前死ね死ね。もうお前みたいなやつは生きてる必要はない」っていうような、そういった幻聴に左右されて、妄想に左右されて、そして自ら、自傷行為あるいは、首を吊ってしまう。色んな危険な行為があります。
そういった意味において、そういったことを守るべきカメラであって、っていうふうに僕は本来思っています。
ですから、保護室、地方によっては隔離室という表現をするんですけれど、そういったところにはカメラが必要で、そういった行為、自傷行為がないかというようなことをきちんと見る。
精神科の病院では、デッドスペースといいますか、ナースステーションから見えないような裏側の方に、そこにはカメラが今あります。でも、入院時に「ここと、ここにカメラがありますよ。これは了解してくださいね。保護室に入る場合でも、ここにカメラがありますよ」っていうようなかたちで、きちんと本人に了解を得ている。そういったようなかたちで、カメラは使用しています。
ですから、本来の目的であるものは、患者様を守るためのもの。職員が何か悪さをしないかっていう、取り締まりのためのカメラっていうのは、今そうは言ってもなかなか難しいかもしれないですけれど、どんどん無くなっていく。そんな時代が必要なんだろうなっていうふうに思います。
そのためには、職員がいかにきちんとした環境で働くか。今先ほど、お話があったように、その職場環境というのは大事な要素です。そこで、少なくとも「孤立させない」。そして、「行動化を言語化へ」って、この2つのことを僕は全ての目的としています。
すなわち、色んなストレスがあって孤立化した場合なんかには、どうしても患者さん側に行ってしまう、弱い方へ行ってしまうっていうようなかたちで行く。そうではなくて、そうなる前に孤立化させないで、「何か困ってることあるの?悩みがあるの?」っていうようなことを職場で話せるような環境。そして、その行動化というのをちゃんと言葉に直して、みんなで、そういう働きやすい土壌を作っていくことが大切だと思っているし、よく病院で患者さんにアンケート調査を入れます。「この病院で満足でしたか」、「よくやってもらいましたか」、そういったものは大体、患者さんが退院するときに行われます。そうすると、大体みんなお上手で良いことしか書かないことが多いです。
僕はそんなことよりも、職員の職場満足度調査というのをやるべきだというふうに思っています。少なくとも、医者になり、あるいは看護師になり、医療従事者になった。それなりにボランティア的な気持ちの多い人です。特に精神科の病院なんかには、僕はそれはもっともっと大事なことだと思っているので、職員がまず満足して良い職場だ。働きやすい職場だ。そういうアンケート結果が出れば、そんな虐待なんかは起こってこない。そんな時代を目指したいと思っております。
知事
ありがとうございます。X(旧Twitter)でですね、見ていらっしゃる方からご意見をいただきました。
このカメラの話についてですけれど、「何を監視するのか。虐待防止、スタッフの監視と言いながら、入院している人を監視することになるのでは。」というこういう話がありました。今、吉田会長もそういう視点でお話をされたと思いますけれども。
さっきおっしゃった、自傷行為するんじゃないかとかっていう、それを守るためのカメラっていうのは、ライブのカメラだと思うんですよね。
先程言ったようにドライブレコーダーのようなカメラっていうのは、普段は見ない。何か起きたときに、それをチェックして見たときに、見えないところで起きていたものが浮かび上がるという。こういうカメラということ。これについては吉田さんどうでしょうか。
吉田様
それは十分必要なことだと思います。僕、何でも物事やるにあたって、仕方がないからというような表現ではない。やっぱり必要だからやってるのであって、というようなかたちが大事なことかと思います。
抑止力につながると思うし、普段のプライバシーを侵害するためのカメラではないんだ。何かそういう疑わしいことがあったときに、それをチェックするために、あるいは逆にそのカメラが医療従事者たちを守る結果につながることだって有り得るので、僕はそれは必要なことだと思っています。
でも考えてみれば、今、日本中あちこちにカメラがありますよね。特に病院だけに限ったことではないので、これから必要なことだとそのように思っています。
知事
まさにそのとおりで、私、この監視カメラということについては、これはずいぶん皆さんの意識が変わってきたのかなってすごく思うんですけれども。
私がキャスターやっている頃ですね、街中に監視カメラがある時代っていうのは嫌だって言って、「警察国家だ。断固拒否する」というイメージが非常に強かった。個人のプライバシー全部曝け出されるじゃないかって。
ところが、あの9.11のですね、同時多発テロが起きてから流れがガラッと変わったと思いますね。
今、我々の所に要望で来るのもですね、「街の中で監視カメラいっぱい付けてください」と、こういう要望がいっぱい来るんですね。そのことによって、これまで分からなかった犯罪というものがどんどん明らかになってきたということがあるし、検挙率もそれでどんどん上がってきているという面もあってですね。
やっぱりカメラに対する意識っていうのはこんなに変わるものかというふうに思ってるわけでありまして。
それを病棟内に持ち込むかどうかというのは、まだまだ議論が必要だ。どんなカメラでどうするのか。これからAIということもありますから、いろいろなテクノロジーの進化はありますから、そういった見えないところが見える化するということについて、やはりいろいろ工夫も必要かなとは思うんですけれども。
向谷地さん、先ほど吉田会長の話の中でですね、職員の満足度調査、これも非常に大事なんじゃないかなと。こういう具体的な指摘もありましたけど、このあたりどのように捉えられますか。
向谷地様
やはり、このイギリスの調査の中でも、職員が安心して働けているかどうかっていうことが、患者さんの病状だとか、治療効果に優位に影響を与えるっていうデータがあるわけですよね。
そういう意味で、職員が安心して働けてるかどうか、ちゃんと自分の意見を言えているのかどうか、そういうことも含めて、職場が民主的な職場であるかどうか、風通しがいいかどうかっていうことについて、それぞれの病院の中で工夫があると思うんですけれども。
とても大事なポイントだというふうに思っています。
知事
小泉さん、いかがですか。
職員が虐待してしまうとかなんとかあるときにはその人の背景もあるだろうと。だから職員が満足して仕事できているかどうかっていうことについて、やはり調査したりするようなアプローチをしようじゃないかって話をしていたわけですけども。
小泉様
私も本当にそこが一番大事だと思っています。やっぱり職員のメンタルヘルスみたいなところとかが本当に大事で、私、当事者巡回の事業で、津久井やまゆり園も視察に行ったんですけれども、今、とても綺麗で開かれていて、年間2,000人ぐらい受け入れがあるっていうような話も聞いて、とても職員の皆さんが堂々とされていたように思えるんですね。
「私たちはどこに見せても恥ずかしくない。自分達の出来ることを精一杯やっている」そういったようなところが、働いている人、みんな感じられるようであれば、やっぱりおっしゃるように虐待みたいなことは起こらないと思っていて、やっぱりそういう雰囲気を作っていくために、県とかがいろいろアプローチしていく、処遇を高めていくみたいなのは本当に大事だと思います。
知事
なるほどね。ありがとうございます。堀合さんいかがですか。
堀合様
私が働いている障害福祉サービス事業、福祉の分野でも、職員の心理的な安全性や満足度はとても大事だと思っています。私が管理者をする事業所でも、職員一人一人に何かあったときに、彼らに思い切って仕事をしてほしいっていうふうに伝えています。
「何かあったときに、彼らに責任を押しつけることはないから、その責任は、管理者や上の方が持つから、そこは思い切って仕事をしてほしい。ただ、やってること、やったことは逐一知らせてほしい」というふうに伝えています。
情報共有と安心感、とても大事だと思っています。
知事
ありがとうございます。金山さんは、施設を運営される立場でもいらっしゃいますけれど、職員のそういうメンタル面、どのように受け止めていらっしゃいますか。
金山様
やはり、自分自身の一日一日のメンタルによって感じることも本当に変わってくるので、私たちの当事者の中でのミーティングっていうのを続けているのは、分かち合いとして、今、自分がどうであるかとか、今、どういう感情を持っているかっていう話をしているわけですから。医療従事者の方の安心安全も考えるならば、やっぱりそういうミーティングというか感情を出す場所っていうのは、すごく重要なのかもしれないなと今日感じました。
知事
ありがとうございます。小林さんいかがでしょうか。
小林様
医療従事者、職員の方のメンタルヘルス。心の安定って、ものすごく患者自身の治療効果に影響を及ぼすと思いますので、非常に大事なことだと思います。
1つ依存症の立場で申し添えておきたいのは、特にアルコール依存症の場合、入院するときは悪い状態の人なわけですね。要するに病気の真っ最中ということで入るわけですから、医療従事者の方は意外に回復した方に会ってないんですね。
要するに、病院の中で見る人は、みんな悪い状態の人達を見ていて、そこは非常に職員さん自身のメンタルヘルスに、ある意味悪い影響を与えてしまってる面もあると思う。ぜひ回復した方の姿を医療従事者の方も、特にいわゆる自助グループ、ないしはそれに似たような当事者の方たちに直接、触れ合って回復した姿を見ていただくということが、職員の心の安定にもつながるのではないかなということは強く思います。
知事
ありがとうございます。吉田先生、これまでの議論を聞かれて、やはりこの問題、非常に根が深いし、そう簡単に1つの事をやれば解決する、という簡単な問題じゃない。
しかし、我々は前に進んでいかなきゃいけないと思うのですけれども、どこから手を付けていけばいいのかっていう中で、1つ浮かび上がった。
今日、私が非常に感じたのは、虐待というものはどうしても見えない所にあると。
やっぱり、虐待はいけないってことは当然いけないのだけれども、なぜ虐待するのかっていうところまで、目を向ける必要があるということですよね。
やっぱりその職員も人間であって、その人の当事者目線というのも当然あるわけだから、そういったことを複合的に考えながら、総合的に、やっぱりやっていくという。そういう一歩を踏み出さなきゃいけない時期に来ているのかななんて思いますけど、いかがでしょうか。
吉田様
知事、ありがとうございます。僕も立場でですね、この20年間くらい色んな日本全国の精神科病院を視察して、そこの機能評価っていうものをやるような、そんなような仕事を一部やっております。
色んな項目なんかをチェックして、だいたい2日間にわたってやるんですけれど。
僕自身は最初にその病院へ行ったとき、職員の表情。そして入院の病棟に入ったとき、患者さんの表情。それを見れば、全てのことがわかるっていうぐらい思っている。
そういうような生き生きとした、そういった表情だから病気じゃなくて病人を、ちゃんと人として見て、みんながどれぐらいやっているのか、というようなことを見る。
その結果としていつも戻ってきているので、決して外れない。
あるいは、よくクリニックでも「どんな病院がいいですか?」、「誰先生がいいですか?」っていろいろ聞かれるんですけれど、そんな評判とか、色んな施設、色んな機械を置いている。そんなことではない。
「もし、かかるんだったら、1回その病院、クリニックに行ってみな。そして診察室から終わって出てきた患者さんの表情を見てみな。辛い、暗い顔しているのか。診察室から出てきたとき、笑顔で出てきているのか、それってものすごく大事なことなんだよ」そういうふうなかたちでアドバイスをしたりしています。
ですから、色んな意味において、頑張って虐待のない神奈川県が少なくとも精神医療に関しましては、フロントランナーを走るべく、しっかりやっていきたい。こんなような思いでいます。
知事
ありがとうございました。今日は、非常に皆さんの率直なご意見をお伺いして、本当に私も非常に役に立ったなと感じているんですけれども。
基本的に、今から10年前にですね、津久井やまゆり園事件というのが起きた。これが我々の原点ですね。意思疎通すらできない人間は生きている意味はないんだって勝手な思いで19人の命を奪ってしまったということ。
何でこんなことが起きたのかをずっと見た中で、いろいろ改善をしようとしても、虐待事案というものがなかなか消えない。県立の直営の施設であっても、つい最近まで虐待っていうものがどんどんどんどん出てくるということですね。
それと同じような話が、実は精神科病院にもあるなということの中でですね。どうやったらこれを解決できるのかといった中で、じゃあもうカメラで全部記録するしかないんじゃないのかななんて思いもしたところでもありますけれども。
やはり今日、皆さんとの話を聞きながらですね、それは最終手段としては有り得たとしても、やはりなぜ、そういったことが起きてしまうのかという背景。そしてそれはただ単なる施設の中だけの話ではなくて、社会全体がどういうふうにして、皆さんを見ているかといったところ。その理解が全然進んでない中で、それを1つの施設の中だけを何とかやってやろうとしても、なかなかそれは解決に結びつくことではないということだというふうなことがよく分かってまいりました。
そんな中にですね、今日は入り口だと思うんですけれども、こういった対話を重ねながらですね、やっぱり皆さんが、安全安心な医療といったもの。医療というか、精神の疾患を持っても、皆さんが自然に生きられるような、そんな社会をですね、ともにつくっていこうと頑張っていきたいと思いますので、今後ともどうぞよろしくお願いします。今日はどうもありがとうございました。
司会 渕之上様
本日ご参加の皆様、貴重なご意見をいただきましてありがとうございました。また、YouTubeでご視聴いただいた皆様もありがとうございました。今日はですね、X(旧Twitter)にもコメントを他にもいただいていましたが、時間の都合などでご紹介できませんでした。ご了承ください。本日の様子は神奈川県のホームページに掲載し、YouTube動画も配信いたします。また、今回のテーマ「精神疾患を抱える方とともに考える「生きやすい社会」について」に関する皆様のご意見を募集しております。YouTubeの概要欄にあるURLから匿名でお寄せいただけますので、是非よろしくお願いいたします。皆様からの貴重なご意見は県政の参考とさせていただきます。それでは、これをもちまして令和7年度第3回『黒岩知事と当事者とのオンライン対話』を終了いたします。皆様ありがとうございました。
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