インタビュー
県内で広がる生涯学習についてお伝えします。
地域に根ざした取り組みなども生涯学習の一つです。
“あやせいいとこ再発見”
綾瀬ふるさと検定協会
左から高橋さん、近藤さん
綾瀬ふるさと検定について
綾瀬ふるさと検定協会とはどのような団体ですか
近藤:簡単に言いますと、綾瀬に関する歴史、自然、産業、文化、行政について、知識の深さを認定するための検定試験を企画・実施する団体です。メンバーは現在7名です。
高橋:メンバーは何人か入れ替わっておりますが、色々な経験を持つ方が集まって、一つの検定協会が構成されています。
検定協会のこれまで
協会発足のきっかけやこれまでの活動について聞かせてください
近藤:検定を通して綾瀬の素晴らしさを認識し、より多くの人々に“あやせ愛”を深めていただくことを目的に、2017年5月に綾瀬ふるさと検定協会を設立しました。これまでの実績としては、2018年11月に第1回検定試験(受検者50人)、2019年8月に第1回子ども検定(受検者20人)、2020年2月に第2回検定試験(受検者44人)、新型コロナウイルスの影響により、すこし期間が開いて2023年5月に第3回検定試験(受検者16人)、2024年5月に第4回検定試験(受検者14人)、2025年8月に第2回子ども検定(受検者27人)となります。
具体的な活動内容としましては、毎月一回、綾瀬市中央公民館に集まって、次回の検定問題を作成したり、受検者向けにガイドブックを作成したりしています。
高橋:私は定年退職後に綾瀬市に引っ越してきました。最初は綾瀬のことを何も知らなかったので、市民活動センターに行って、色々な活動をしているグループの方々とコミュニケーションをはかることで自身の活動が広がっていきました。高座豚を知ったのも、センターで開催している生涯学習講座がきっかけでした。講座のカリキュラムの中に、一つのテーマを取り上げて発表する機会があり、私は高座豚について発表しました。それが高座豚研究班の始まりでした。そこから7人のメンバーで高座豚研究班を立ち上げ、講座が終わってからも活動を続けることになりました。そして高座豚の紙芝居を作って、小学校などで子どもたちに披露しました。このような活動をきっかけに、私たちの“あやせいいとこ再発見”はどんどん広がっていき、これをテーマに10年以上かけて綾瀬市内の自治会館や小中学校、市役所等での講演会などを行いました。延べ5000人の受講者から「住んでいる町の印象ががらりと変わった」などの声を聴き、もっと郷土への愛を深めて欲しいという想いで検定協会の発足に踏み切りました。
学び・喜ぶ姿が自分たちのやりがい
活動のやりがいについて聞かせてください
近藤:検定問題を考えたり、ガイドブック作成のための取材をしながら、知られざる綾瀬の魅力を見つけた時には、大きな感動とやりがいを感じます。試験後に受検者から「郷土綾瀬についての知識が増えた」、「難しい問題でした。再挑戦したい」などの言葉を聞いた時にもやりがいを感じます。子ども検定では、小学生が一生懸命に問題に取り組んでいる姿を見ると、綾瀬の将来に明るい光が輝いてくるように感じます。
高橋:綾瀬には鉄道がなく、主要な観光地もありません。みんなが「ないない」イメージを持っているように思います。皆さんに対して綾瀬のことをお話しすると、「こんな素晴らしいところだったんだ」と再認識してくれます。それが大事だと思っています。その意味では検定協会が綾瀬の魅力を再認識するきっかけづくりをし、学びの場を提供していると思います。子どもたちに検定を受けてもらう際には、事前に問題集を配付しています。“検定”というよりは“勉強会”という印象かもしれません。この検定をやることによって、受検者からは「綾瀬って素晴らしい。特に歴史が素晴らしい」という声を耳にします。綾瀬は“歴史の街”だと思います。綾瀬の歴史は奥が深くて、私は歴史講座をあちこちでやっているのですが、綾瀬市内に借りている150坪の畑の真ん中に、木の切り株を置いて野外講習(勉強会)を行ったりもしました。20人前後の参加者に対して、私から綾瀬の歴史について話をしたあと、市役所職員の方が健康講座なども行いました。そうした活動は私たちの生きがいにもなっています。
あと、参加した子どもたちには、認定証を額に入れて、さらに検定協会のボールペンも贈呈しています。それを受け取った子どもたちが喜んでくれる姿を見ると嬉しいですね。
高橋さん
検定問題ができるまで
検定の問題はどのように作成しているのか教えてください
高橋:会員のみんなで集まった時に、各自の知恵を絞って、意見を出し合いながら問題を作成しています。問題は一から作成しています。書籍や綾瀬市が作成している資料等を読んで情報を集めています。問題数は子ども検定30問。一般の検定は60問。問題の難易度なども工夫しています。
近藤:私はホームページを調べたり、気になるものは図書館で調べて、得た知識をみんなと共有しています。問題を作るときは、難しすぎず、かといって易しすぎないようにバランスをとることを心掛けています。
「検定を受けた方の反応」
<受検後のアンケート>
- 「昨年と同じ設問は簡単に答える事ができましたが、少し内容が変わると間違えてしまいました。もう少し深く勉強します」
- 「過去問題は少しは分かったのですが、文化・行政が特に難しかった」
- 「綾瀬の史実や産業、文化など考え、知識を得るきっかけとなり、良い企画だと思います。長い期間住んでいますが郷土愛が育つ機会となりました」
- 「『新しい綾瀬』の問題も、もっと欲しい」
- 「綾瀬を知る場を作っていただいてありがとうございました」
- 「今更テストなんて、と思いましたが、私の人生で一番長く住んでいる綾瀬の事をいろいろ知る事が出来て良かったです」
- 「綾瀬に住んで33年になりますが、初めて知る事ばかりで(特に歴史)驚きの連続!勉強を進めるうちに、どんどん「もっと知りたい」と思うようになっていきました。このような機会を作っていただき、ありがとうございました」
検定協会のこれから
これからの活動の展望について聞かせてください
高橋:綾瀬について日常的に学ぶ機会が少ないことから、検定の勉強をすることによって、郷土に対する知識が深まることをPRしていきたいと思っています。この検定を知っている方はまだ少ないと思いますので、小学生や中学生なども含め、幅広くPRをしていかないといけないですね。そのために、現在ガイドブックを作成中で、検定を受検する方に配付するなど、広報に力を入れていく予定です。
近藤:ガイドブックはA5版、120ページ程度の冊子を見込んでおり、多くの方に目を通してもらいたいですね。
近藤さん
何かを学びたい人へ
近藤:綾瀬には、国指定史跡の神崎遺跡があります。神奈川県立歴史博物館の常設展は「【テーマ1】原始・古代“さがみの古代に生きた人びと”」と銘打って、綾瀬吉岡遺跡群から出土した4万年前の石器群から始まっています。神奈川県埋蔵文化財センターには、綾瀬市内から出土した旧石器時代の石器や奈良時代の木簡などが展示されています。また、鎌倉幕府の御家人渋谷一族や徳川家光の乳母春日局も綾瀬に関わりのあった人物です。こうした綾瀬の歴史や自然を学ぶことによって、心に豊かさがにじみ出てくることでしょう。県内には全国的にも知名度の高い鎌倉検定があります。いきなり鎌倉検定に挑戦するのはハードルが高いと思いますので、まずは綾瀬ふるさと検定を受検してみてはいかがでしょうか(笑)。
高橋:いかに検定の受検者を増やしていくか。これが非常に難しいです。綾瀬ふるさと検定の知名度を上げ、皆さんにもっと興味・関心を持っていただきたいと思っています。そのためにまずは自分たちが楽しく活動することが大切ですね。綾瀬ふるさと検定協会の活動を知って、自分の地元でもやってみたいと思う人が増えることを期待しています。
今回は、綾瀬市中央公民館を活動拠点とする「綾瀬ふるさと検定協会」の発起人である代表の高橋さんと事務局を担当する近藤さんにお話を伺いました。
以前はそれぞれ全く異なる職種でご活躍されていた方々が集まって、綾瀬という地域の魅力を広く伝えるべく、自分たちの知識やスキルをいかしながら協会を運営しています。バイヤーとして世界各国を飛び回っていた高橋さん、電機メーカーの宇宙部門で人工衛星の研究開発事業に携わっていた近藤さん。それまでは全く綾瀬のことを知らなかったお二人からは、綾瀬を愛し、その魅力を多くの人に伝えたいという強い想いがヒシヒシと伝わってきました。
毎月1回の定例会では、皆さんで意見を出し合いながら検定試験実施に向けて、話し合いを続けています。生涯学習は「自分(個人の成長や幸福)のための学習」と考えられがちですが、自分の学びや成長・幸福が「人・社会のための学習」につながるという視点も大切にしていきたいと思いました。
綾瀬ふるさと検定は、毎年5月・8月に実施されており、綾瀬に在住・在勤の方、また綾瀬に興味のある方、どなたでも受検が可能です。次回の検定は令和8年5月頃を予定しているそうです。この機会に“あやせのいいところ再発見”してみませんか。
2026/03/31
プロフィール
綾瀬ふるさと検定協会
綾瀬に関する歴史、自然、産業、文化、暮らしなど多分野にわたり、知識の深さを認定する検定試験を実施しています。この検定を通して「綾瀬いいとこ再発見」を探しつつ、綾瀬の魅力・素晴らしさを再認識し、“あやせ愛”を深めていきましょう。
綾瀬ふるさと検定協会HP
https://www7b.biglobe.ne.jp/ayaken/