1ページ目 意思決定支援について (一社)全国手をつなぐ育成会連合会 常務理事兼事務局長 (公社)日本発達障害連盟 常務理事(発達障害白書編集長) 内閣府障害者差別解消法全国自治体研修講師 厚生労働省障害児通所支援の在り方に関する検討会委員 又村あおい 2ページ目 意思決定支援の権利条約・法制度上の位置づけについて 3ページ目 障害者権利条約と意思決定支援 1.「障害者権利条約」とは、平成18年に国連で採択された国際条約(国際ルール) 2.条約では、障害のある人を「一人の人間」「権利の主体」と捉え生活のさまざまな場面において障害のある人の人権(尊厳)の 尊重を批准国へ求めている 3.全部で50条あり、その中には「法律の前に等しく認められる権利と権利行使のための適当な措置」も規定されている 4ページ目 障害者権利条約における意思決定支援関連規定 第12条(法律の前にひとしく認められる権利) ・締約国は、障害者が生活のあらゆる側面において他の者との平等を基礎として法的能力を享有することを認める。 ・締約国は、障害者がその法的能力の行使に当たって必要とする支援を利用する機会を提供するための適当な措置をとる。 5ページ目 障害者権利条約における意思決定支援関連規定 第19条(自立した生活及び地域社会への包容) ・締約国は(略)全ての障害者が他の者と平等の選択の機会をもって地域社会で生活する平等の権利を有することを認める(略) ・障害者は(略)居住地を選択し、及びどこで誰と生活するかを選択する機会を有すること並びに特定の生活施設で生活する義務を負わない(略) 6ページ目 改正障害者基本法において規定された意思決定支援 第23条(相談等) 国及び地方公共団体は、障害者の意思決定の支援に配慮しつつ、障害者(略)に対する相談業務、成年後見制度その他の障害者の 権利利益の保護等のための施策又は制度が適切に行われ又は広く利用されるようにしなければならない。 7ページ目 改正障害者基本法で注目したいもう1つの規定 第3条(地域社会における共生等) 全て障害者は、どこで誰と生活するかについての選択の機会が確保され、地域社会において他の人々と共生することを妨げられない。 生活の選択機会が確保されても、意思決定の支援が担保されなければ意味がない。両者は表裏一体の関係 8ページ目 意思決定支援って何だ? 1.意味としては、障害のある人の「意思」を「決定」するための「支援」 2.知的・発達障害のある人や認知症の人にはとりわけ大切な支援といえる 3.ただし、「意思決定支援」の具体的な実践については知見の蓄積が必要 法定化されたことも踏まえて、障害のある人や家族、支援者などが積極的に議論することが重要 9ページ目 意思決定支援って何だ? 一般的に「意思を決定する」ことを考えてみると、以下の流れが想定される @決定の基礎となる十分な体験や経験(決定する経験)があり A決定に向け必要な情報の入手・理解(統合)・保持・比較・活用がなされ B決定した意思が表出、実行できる 10ページ目 意思決定支援って何だ? 1.前スライドで整理した流れを、障害のない人は日々の生活で自然に繰り返している 2.しかし、これを知的、発達障害のある人に引き付けて考えてみると、流れの1つ1つに支援を要する(可能性が高い)ことが分かる 3.今まで周囲の人々は「意思決定に支援が必要=自分では決められない」と捉えていなかっただろうか? 11ページ目 意思決定支援って何だ? @決定を下支えする十分な体験や経験(決定する経験)があり→障害があっても年齢相応の「決める」体験や経験が保障されているか A決定に必要な情報の入手・理解(統合)・保持・比較・活用がなされ→本人が理解できる形で情報提供できているか B決定した意思が表出、実行できる→独特な意思表出もキャッチできているか 12ページ目 重度の障害のある人であっても、必ず「意思」あるいは「思い」や「気持ち」があり自分のことを自分で決めることができる可能性を秘めています。 それをどのように支援できるのか・・と考えるのがポイントといえます。 13ページ目 意思決定支援は権利擁護 1.虐待や差別行為など、障害のある人の権利侵害を防止、解消する方向性の権利擁護(いわば「担保すべき(最低限守るべき)」権利擁護: 虐待防止法や差別解消法における差別的取扱いの禁止など) 2.本人の暮らしの支援や、エンパワメントという方向性を促進する権利擁護(いわば「開拓・開発すべき」権利擁護: 意思決定支援や差別解消法における合理的配慮の提供など) 14ページ目 変わるもの、変わらないもの 変わる制度 措置制度→支援費制度→ 障害者自立支援法→障害者総合支援法 変わらない支援 本人主体の支援、意思決定支援など 15ページ目 お待たせしました!ついに最新版発刊!! 育成会の本 障害のある人が使える支援 2024年8月発刊 簡単な説明とイラストでよく分かる 16ページ目 ご参考まで・・(その1) 全国手をつなぐ育成会連合会 2020年4月から、一般社団法人として生まれ変わりました。 ホームページURL⇒http://zen-iku.jp/ または、「全国手をつなぐ育成会連合会」で検索していただくとたいがいはトップで表示されます。 QRコード 17ページ目 ご参考まで・・(その2) 賛助会員になると毎月「手をつなぐ」が届きます。 「手をつなぐ」は、知的な障害のある当事者(本人・家族)に関しての各地の情報、わかりやすい制度の説明、各地で 元気に活動する人たち、親の声、本人の声が満載の情報誌です。 賛助会員(年間4,100円)になると、毎月『手をつなぐ』をお届けいたします。1か月あたり約350円! ホームページURL⇒http://zen-iku.jp/publish/tsunagu (お問合せ) 電話:03−5358−9274(平日10時から19時) メール:info@zen−iku.jp(24時間受付) 18ページ目 ご参考まで・・(その3) 「おたすけプラン」シリーズ大好評です! 育成会の会員向けの福利厚生として展開する保険事業「おたすけプラン」シリーズは「所得補償保険」「がん保険」「傷害総合保険」「介護」 の4種類で、いずれも障害のある人にもご加入いただけるよう、運用を工夫しています(障害以外の理由で加入できない場合はあります)。 加入対象は、育成会の会員〔障害のある人、障害のある人の家族(親、きょうだい)、障害福祉サービス事業所の職員、全国手をつなぐ育成会連合会 の賛助会員〕の皆さまです。団体契約により保険料10%割引! (お問合せ) 電話:03−5358−9274(平日10時から16時) メール:info@zen−iku.jp(24時間受付) 19ページ目 書籍のご案内 自閉スペクトラム症マイペースなきみに 家族はすったもんだ 全国手をつなぐ育成会連合会の機関誌「手をつなぐ」に好評連載中の4コマまんが「毎日すったもんだ」が1冊の本になりました。