資料5 今後の県立障害者支援施設のあり方について 県は、令和5年12月に「県立障害者支援施設の方向性ビジョン」(以下「ビジョン」という。)を策定した。 各県立障害者支援施設(以下「県立施設」という。)のうち、県直営のさがみ緑風園を除く県立施設の指定期間が令和9年度で終了する中、県立施設の方向性について改めて整理するため、来年度、ビジョンを改訂する方向で検討している。 そこで、改訂に際しての、県立施設の基本的な方向性等について、報告する。 (ビジョンでの県立施設の方向性に関する整理) 県立施設として継続 地方独立行政法人による運営に移行する 中井やまゆり園(※) 民間法人へ移譲 移譲に向けて、利用者や家族、現指定管理者(指定管理施設のみ)の意向も踏まえながら、移譲の時期、相手先や条件の検討を進め、調整がついた施設から順次、移譲していく。 さがみ緑風園 厚木精華園 三浦しらとり園 引き続き方向性を検討 指定管理や施設の再整備の状況を踏まえて、引き続き検討していく。 芹が谷やまゆり園 津久井やまゆり園 愛名やまゆり園 ※中井やまゆり園の詳細については、「9 地方独立行政法人神奈川県立福祉機構の設立について」で別途報告。 (1) 「民間法人へ移譲」とした施設 ア さがみ緑風園 (ア) 現状 ・ 平成14年の開設時は定員160名の大規模施設であったが、身体障害者に対する地域の障害福祉サービスの拡充に伴い、入所者の減少が続き、現在の入所者数は31名(定員40名)である。 ・ このため、2階建ての建物のうち居住フロアとして使用しているのは、2階の一部だけとなっている。 ・ 最重度の身体障害者用の施設として、ゆとりを持ったつくりの建物で、民間施設に比べて広く、維持・管理費がかかる。 (イ) 検討状況 ・ 建物の使用していない部分(建物1階部分と2階の一部)の活用について地元自治体など関係機関にヒアリングを行ったが、特別養護老人ホーム等の他の福祉施設としての利用のニーズは、現時点でないことを確認した。 ・ 一方で、県児童相談所の一時保護所の利用が飽和状態であることから、令和8年4月から、使用していない建物の1階部分を児童相談所の一時保護所として活用する予定である。 (ウ) 基本的な方向性 ・ 県の施策上の新たな施設ニーズを踏まえた上で、民間法人への移譲条件等を引き続き整理しつつ、当面の間、県直営による運営を継続する。 イ 厚木精華園 (ア) 現状 ・ これまで高齢の知的障害者支援のモデル施設としての役割を果たしてきたが、民間施設における取組の進展により、その役割は低下している一方で、加齢による身体機能の低下等により家庭やグループホーム等で対応できなくなった場合の短期入所など、一時利用先として期待されている。 ・ 現指定期間における地域生活移行の取組では、入所者は、83人(定員112人、短期入所含む)まで減少し、指定管理者は、更なる地域生活移行に取り組んでいる。 ・ 現在の土地・建物を民間法人へ移譲する場合、定員縮小後の施設規模に比して、土地・建物等のハードが大きく、国報酬を基軸とした収入体系で維持、管理していくことは困難である。 (イ) 検討状況 ・ 本施設は、交通アクセスが不便で、また施設の隣接地が土砂災害特別警戒区域に指定されているなど、将来的には他地域への移転や建物の移設等を進める必要がある。 ・ このため、民間法人が現在の土地・建物を活用して、将来に渡り施設運営を継続することは考えにくく、いずれ建替えや移転が必要となり、その場合、移譲先法人の負担が大きい。 ・  このため、現状では入所定員を縮小しながら、民間法人に移譲する方向で検討するが、移譲後に民間法人が、現在の土地・建物を保有するリスクを軽減しながら、安定的な施設運営ができるよう、検討する必要がある。 (ウ) 基本的な方向性 ・ 県立施設としての役割は低下したため、民間法人へ移譲する方向で検討を進めるが、移譲に当たっては、既存の土地・建物の管理の方法等を含め、移譲条件を整理していく。 ウ 三浦しらとり園 (ア) 現状 ・ 現指定期間において、通過型施設を目指し、具体的な目標を定めて地域生活移行に取り組み、利用者は62人(定員88人)まで減少しており、このまま定員を減少させれば、民間法人が効率的に運営することができる規模になる見込みである。 ・ 一方、障害児施設は、県所管域では県東部唯一の障害児施設であり、入所を一手に引き受けている実態があり、また、中核市である横須賀市からも入所枠を確保するよう要請を受けるなど、施設としてのニーズは高い。 (イ) 検討状況 ・ 利用者の減少に伴い、施設運営に実績のある民間法人であれば、県立施設という位置づけに頼ることなく、これまでの支援ノウハウや関係機関とのネットワークを生かし運営できる可能性が高い。 ・ ただし、移譲する場合、譲渡する土地は、縮小する定員に応じ、民間法人が効率的に管理できる規模まで縮減する必要がある。 ・ また、建物の老朽化が進んでいるため、移譲先法人は縮減後の定員規模に応じた施設を新たに整備する必要があるが、その際、集団生活が難しいと指摘される強度行動障害のある方を支援するための小規模ユニットケアの導入が求められ、県として財政支援を含め検討する必要がある。 ・ なお、民間法人への移譲後も、障害児施設においては、被虐待児の緊急受入れなど広域的な役割も期待されており、これまでの支援水準を維持するため、県として財政支援を含め検討する必要がある。 ・ また、移譲後は、住宅地に所在する施設の特色を生かし、地域に溶け込んだ施設運営が実現できるよう、自治会や他法人、NPO等と密接に連携した取組が期待される。 (ウ) 基本的な方向性 ・ 民間法人の多様なノウハウを活用して、横須賀・三浦圏域における本施設への期待に応え、役割を果たすことを目指し、民間法人へ移譲する方向で検討する。 ・ 移譲に当たっては、事業の安定的な継続性を確保するとともに、増加する被虐待障害児の保護や施設の小規模化、ユニット化を含めた将来的な施設のあり方を含め、移譲条件を検討する。 (2) 「引き続き方向性を検討」とした施設 ア 芹が谷やまゆり園 (ア) 現状 ・ 令和5年度からの指定管理では、通過型施設を目指して地域生活移行に積極的に取り組むとしているが、その取組はまだ道半ばである。 ・ 地域生活移行を進める一方、新たな入所ニーズに応え、かつ、地域の短期入所希望に応じ、令和7年11月から施設入所率は100%に達し、短期入所の稼働率も100%を超えている。 ・ 短期入所の希望は、計画的なレスパイト利用、緊急的な一時受入れともに増加し、受入れのキャパシティを常時超過しているが、真に受入れが必要な場合は断らない姿勢を貫いている。 ・ 住宅地や学校、商業施設に近接し、歴史的にも地域住民との関わりが深いといった他の県立施設にはない特色がある。 (イ) 検討状況   ・ 地域からは、敷地・建物を地域の子育てや孤独・孤立対策、防災などの社会課題の解決に活用することについて期待する声が寄せられ、今後、地元自治会や地域で活動するNPO等との協働について検討を進めることが期待されており、その取組は県内他施設のモデルケースにもなり得る。   ・ 地域生活移行先となるグループホーム等の開拓を進め、施設利用者の流動性を高めて新たな利用ニーズにも対応していく必要がある。   ・ 県は、他の県立施設や民間施設との責任・役割の分担を進め、県全体で真に施設利用が必要な重度障害者の暮らしを支える必要がある。 ・ 民間法人への移譲等を検討する場合、本施設は、定員規模(66人)に比して、敷地・建物等のハード面が大きく、国報酬を基軸とした収入体系でこれを維持していくことは困難である。 (ウ) 基本的な方向性 ・ 本施設に期待される役割を果たすために、県立施設として、県の障害福祉施策の中心的な役割を果たすとともに、新たな社会課題の解決に先駆的に取り組むなど、県内他施設のモデルケースとなるよう、指定期間終了後のあり方を引き続き検討する。 イ 津久井やまゆり園 (ア) 現状 ・ 令和3年の再整備後、5年が経過したが、当事者目線の支援の実践や地域生活移行の取組は、まだ道半ばである。 ・ 園の取組を更に推し進めていくためには、現在の施設運営体制と職員配置を継続していく必要がある。 ・ 津久井やまゆり園事件後、毎年追悼式を実施するなど共生社会の実現に向けた発信拠点となっている。 (イ) 検討状況 ・ 本施設は、中山間地域に所在し、高齢化・過疎化の進展や、地元の市立診療所が他地域の診療所との統合が進められるなど、他の県立施設と異なる特別な地域事情のもとにある。 ・ そうした中にあっても、指定管理者は地域での活動拠点として従たる事業所の開設等を進めてきたが、旧津久井郡内は障害福祉サービス事業所が限られ、昼夜分離を進められる環境に乏しく、通過型施設としての地域生活移行の進めるためには、県としても、更に工夫を重ねていく必要がある。 ・ 民間法人への移譲等を検討する場合、本施設は、定員規模(66人)に比して、敷地・建物等のハード面が大きく、国報酬を基軸とした収入体系でこれを維持していくことは困難である。 ・ 今後も、県として、津久井やまゆり園事件に対する継続的関与が必要であるとともに、先駆的な意思決定支援の実績を生かした当事者目線の支援の実践や人材育成を進める必要がある。 (ウ) 基本的な方向性 ・ 事件を経験した施設として、共生社会の実現に向けた発信拠点として、現在進めている農福連携など「ともに生きる社会かながわ憲章」を実践するモデル施設としての取組の充実化を図ることが必要である。 ・ 特有な条件下にある施設としての役割を果たすためには、県立施設として安定した施設運営を支えることが欠かせないことなどを踏まえ、指定期間終了後のあり方を引き続き検討する。 ウ 愛名やまゆり園 (ア) 現状 ・ 現指定期間において、具体的な目標を定めて地域生活移行に取り組み、利用者は、90人(定員120人)まで減少している。 ・ 指定管理者は、現在の多床室を解消し、一人ひとりの障害特性に応じた生活環境を用意するため、60人程度まで定員規模の縮小を目指し、取り組んでいる。 (イ) 検討状況 ・ 本施設は、県全域からアクセスがしやすく、障害福祉サービス事業所をはじめ、地域資源が豊富な県央地域に立地しており、こうした特色を持つ本施設を、中井やまゆり園とともに県立福祉機構が一体的に運営することにより、障害者の地域生活実現に向けた研究の更なる進展が期待される。 ・ 建物は、多床室が多く老朽化が進んでいるため、県は、小規模化に合わせ個室化などの改修を行うとともに、設備の修繕等を行う必要がある。 ・ また、地域資源が豊富な地域の特性を生かし、積極的に地域生活移行を進め、入所規模の更なる小規模化と短期入所の拡充など、地域生活支援拠点化を進めることを検討する。 (ウ) 基本的な方向性 ・ こうした本施設に期待される役割を果たすため、県立福祉機構による運営への移行を視野に入れて、引き続き検討する。 ・ 移行後は、当該地域で現指定管理者をはじめとする民間法人やNPO等が築いた多くの社会資源と連携して、地域の障害福祉のニーズを受け止めるモデル地区を作り上げることが期待される。 (参考:県立施設の概要) 中井やまゆり園 (中井町) 直営 知的 140人 築25年 (個室・多床室) さがみ緑風園 (相模原市南区) 直営 身体 40人 築22年 (個室中心) 芹が谷やまゆり園 (横浜市港南区) 指定管理 同愛会・白根学園 令和5年4月から令和10年3月まで 知的 66人 築3年 (個室) 津久井やまゆり園 (相模原市緑区) 指定管理 かながわ共同会 令和5年4月から令和10年3月まで 知的 66人 築3年 (個室) 愛名やまゆり園 (厚木市) 指定管理 かながわ共同会 平成28年4月から令和10年3月まで 知的 120人 築39年 (多床室中心) 厚木精華園 (厚木市) 指定管理 かながわ共同会 平成28年4月から令和10年3月まで 知的 112人 築30年 (多床室中心) 三浦しらとり園 (横須賀市) 指定管理 清和会 令和5年4月から令和10年3月まで 知的 児40人・者112人 築42年 (多床室中心)