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初期公開日:2025年10月10日更新日:2025年12月9日

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「シンポジウム第2弾 声を力に ~当事者目線で考えるDV・ストーカー被害者支援のかたち~」開催結果

川崎市で発生したストーカー事件を受けて、令和7年6月6日(金)に緊急シンポジウムを開催しました。その後、令和7年9月に神奈川県警察が事件の検証結果を公表したことを踏まえ、県が今後取り組んでいく施策等を県民の皆様にご説明するとともに、これからの被害者支援の仕組みのあり方について何が必要か県民の皆さんと議論するためのシンポジウム第2弾を開催しました。

開催概要

日時

令和7年11月7日(金曜日)18時30分から20時まで

開催場所

  • 神奈川県庁 本庁舎3階 大会議場(横浜市中区日本大通1)

プログラム

  1. 知事あいさつ
  2. 神奈川県警察による川崎ストーカー事件の検証結果の概要説明
  3. 「DV・ストーカー対応強化特別チーム」による県の取組内容の報告
  4. パネルディスカッション~みんなであなたを守ります!~
  5. 参加者と知事の意見交換

登壇者

【モデレーター】黒岩 祐治 [知事]
 

  • 野口 杏子 氏 [弁護士]

 2007年に弁護士登録し、2010年から神奈川県弁護士会人権擁護委員会 「すべての性の平等に関する部会」に所属。 DV被害者の権利擁護のための活動に携わる。

 

  • 菊池 操 氏 [公益社団法人アマヤドリ 代表理事]

 公益社団法人アマヤドリでは、さまざまな事情で家族を頼ることが難しい15歳から29歳の若者に向けて、「相談支援」 「住まいの支援」「居場所支援」を行っており、全国から相談が寄せられている。
 代表理事を務める菊池氏は、公立学校の養護教諭を経て、2020年にアマヤドリを設立し、現場や当事者の声を第一に考えた若者伴走支援を行っている。

 

  • 田中 剛太 氏[一般社団法人PROVE 共同代表]

 一般社団法人PROVE共同代表・加害者プログラムファシリテーター。一般社団法人アウェアでのDV加害者プログラム及び被害女性プログラムのファシリテーターを経て、2023年4月にアウェアから独立してPROVEを設立し、引き続き、被害者支援の一環として加害者プログラムを実施。DV加害者更生教育プログラム全国ネットワーク(PREP-Japan)運営委員。社会福祉法人わかくさ会(児童養護施設「若草寮」)理事。明治学院大学社会学部社会学科非常勤講師。

 

  • 内澤 旬子 氏 [文筆家/イラストレーター]

 神奈川県出身。『身体のいいなり』で第二十七回講談社エッセイ賞受賞。『世界屠畜紀行』『漂うままに島に着き』など著書多数。 2014年より香川県小豆島に移住。2019年自らのストーカー被害体験を書いた『ストーカーとの七〇〇日戦争』を文藝春秋より上梓。

 

  • 小早川 明子 氏 [NPOヒューマニティ 理事]

 2003年NPOヒューマニティ設立。ストーカー被害者のこころのケアと並行し、 加害行為を行う側へのカウンセリングも行う。 警察庁「ストーカー行為等の規制等の在り方に関する有識者検討委員」を歴任。

参加者数

  • 115名(会場参加者)
  •   69名(LIVE配信参加者)

パネルディスカッション及び参加者との意見交換概要

(参加者の個別事案に関する内容は、個人情報保護の観点から省略しています。)

〇相談/被害者の思いについて

・被害者の気持ちは揺れ動くことがあるし、警察等にうまく説明できないこともある。 被害者の多くは悩むことがあるということを理解していただきたい。

・被害届を出すとなっても、復讐が怖い。警察も24時間は守ってくれない。

・この人のことが好きだと思って、結婚したり付き合ったりするので、その人から離れるのは、自分を否定することになってしまう。

・被害者は、自分がどのくらい危険なのかわかっていないことが多く、意識の揺らぎも大きい。何度も同じことを聞かれると気持ちが変わり、相談が途切れてしまう。

・相談を受ける側が被害者の意思決定に大きく影響していることを強く意識し、あるべき解決の道筋を示すことが重要である。

・警察に相談するのもハードルが高いし、何か起きないと聞いてもらえない。もう少し手前、不安な段階から相談できる窓口が欲しい。

〇警察の対応について

・以前は相談に行っても真剣に取り扱ってもらえなかったが、検証結果公表後に相談に行ったところ、真摯に対応してもらえた。警察が変わり始めていると感じるので、今後、さらに対応が良くなることを期待する。

・被害届を出さなかったり取り下げたりすると、警察の士気が下がるように感じる。

・警察に、被害者心理と、加害者心理の両方を理解してほしい。

〇加害者について

・加害者は、粗暴な人が多いわけではなく、社会的能力があり、外面もよく弁が立つ方が多い。関係機関は、そのような加害者の主張を鵜呑みにしないよう、お願いしたい。

・最近は身体的暴力をしない加害者が増えている。そのような人は、身体的に殴る、蹴るという手段を取らず、いかに効率よくパートナーを支配するかを考えているようだ。

・自覚のない加害者もいるので、自分のやっていることがDVやストーカーであると気付かせなければならない。

・加害者は、被害者が混乱して被害届を取り下げたり、自責の念を持つようにさせたり仕向けることがある。

〇連携について

・どこかに相談したら、ワンストップで色々なことが繋がると良い。

・警察の取り調べや相談、被害届を出すとき等に、カウンセラーがいて被害者のケアをしながら対応してくれると良い。

・警察による警告の前にカウンセラーが関わるのが良い。カウンセラーから加害者に対し、警察沙汰になることを事前に伝えることで、被害者への報復も減る。

・警察の主な仕事は取り締まり等であるため、共感する能力は被害者支援を行っている行政の方が高いのではないか。行政と警察が連携するときには、被害者支援を行っている方の力を借りるのも道の一つだと思う。

〇県の取組について

・県の事業として弁護士による同行支援の話があった。被害者が警察に相談する際、辛かった思いだけを訴え、事実関係が分からないことが多いため、弁護士がそこを整理できれば良い。

・民間団体がワンストップで支援できるよう、必要な基盤を制度面で支えてくれる仕組みがあるとよい。

〇今後の支援の在り方等について

・加害者プログラムでパートナーがプログラムに参加して、自分を変えようとする努力をするのであれば、被害者も我慢してやり直す努力をしないといけないと思う方が意外と多いが、それは勘違いである。加害者プログラムは被害者支援の一環なので、被害者の自立と回復のために支援者と加害者に何ができるかを考えるためのものである。

・これからも普遍的に取組が続くようにするためには、何かルール的なこと、心がけではなく決まりを作りそれに従って、被害者を徹底的に守ることが必要。

・今までは被害者が自ら警察や支援機関等へ行ったり、カウンセリングを受けたりする形だった。これからは支援する側が動く、その仕組みをつくるための決まりが必要。

・被害者の方が助けを求めた時に、積極的に支援するような制度が必要。県の条例で作ることが可能だと思うので、ぜひお願いしたい。

〇総括(知事より)

当事者目線に立って、被害者の方が助けを求めた時に、支援する側が積極的に動く、その仕組みを作ることが必要だと感じた。社会全体で被害者を守るプロセスを作って、みんなが安心安全な神奈川にしてきたい。

〇アンケート結果(回答者数40名)

  • 誰もがある程度、相談場所などを知っていることが望ましいため、広報を強化してほしい。
  • 内澤氏の「警察での取り調べ、相談被害届提出時にカウンセラーがいてくれたら」という意見は形にして欲しい。同席は時間・距離的に無理であれば、TV電話等で立ち会うなど方法はあると考える。
  • 一時保護・自立支援機能の強化の前に、専門家からメンタルケアを受けることが必要。
  • 女性「以外」のDV被害・ストーカー被害の救済、男性、セクシャルマイノリティの方など、更に被害が見えにくい属性の方ももっとサポートしてほしい。
  • 自治体のDV相談窓口、LINEの相談員、児童相談職員等に支援者研修を受けさせてほしい。
  • DV・ストーカー被害者の想像力と共感力を適切に持たないと、社会が変わっていかないと思った。
  • 県知事と共に、県内で起きた事件から、そのテーマについて話し合うことは、重要で貴重は経験だった。被害者目線で考えることはまだまだ沢山あることを実際の話から感じた。

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